「夜、爪を切ってはいけない」という言葉があるのは、ホントです。
日本に古くから伝わる迷信というものです。
私も小さい頃、母からよく言われていました。
「夜、爪を切るとね、親の死に目に会えないのよ。」って。
子供ながらに、「親の死に目に会えないなんて、そんな悲しいことはない!」と思い、夜に爪を切ることは絶対にしてきませんでした。
そして、大人になった今、迷信ということはわかりながらも、もちろん娘にもそれを守らせているのですが…。
みんなが知っていることではない?
以前に主人の実家で夕飯を食べ、食後に驚いたことが…。義母が夜だというのに爪を切り出したのです。
ただの迷信とはいいながらも、親世代の人は知っていることだと思っていいたのですが、「何それ?聞いたこともない。」と言われてしまいました。
迷信だから、信じる人は信じるし、信じない人は全く信じないことだとはわかっているつもりですが、まさか聞いたこともないと言われるとは…。
迷信がいまだに残っているのは、親から子供に語り継がれているからであって、すべての家庭で語り継がれているわけではないということですね。
そういわれてみると、我が家のダンナ様も結婚した当初、夜爪を切り出したので注意して止めさせたことがありました。
親が知らないのだから、息子が知らなくてもあたりまえですよね。
夜爪を切ってはいけないのはなぜ?
そもそも迷信とは、「人に信じられているが、合理的な根拠のないもの」とされています。
でも、昔の人がなんの理由もなく、「夜爪を切ってはいけない」と言ったわけではなく、それにはちゃんと理由があるのです。
いくつか理由はあるようですが、一般的に言われているものは、
「夜爪→夜をつめる→世をつめる」
つまり、短命になってしまうことを意味し、親より先に死んでしまう…という縁起でもないことを避けるために言われてきたという説です。
他にも、
「昔は電気などがなく夜になると暗くなり、手元もよく見えない状態で爪を切るのは危ない」
という説や、
「夜は、切った爪が飛んでも見えないので、それを踏んだらケガをする」
などと、諸説あるようです。
そう考えると、この言葉は「親が子供の身を案じて言っている言葉」のように感じますね。
今は、夜でも電気があり明るいですから、危ないということはありませんけどね。
どうしても夜切りたいときは
これは、姉に教えてもらったことです。我が家でも聞いたことがない言葉なので、おそらく姉も誰かに教えてもらったのだと思います。
私に娘が生まれて、実家で過ごしていた時のことです。
赤ちゃんの爪はとても薄くて、ちょっと爪が伸びていると自分で自分の顔に引っかきキズを作ってしまうこともあります。
うちの娘もそうで、顔にキズが…。
でも、私としては夜に爪は切ってはいけない…と思っていましたから、「昼間のうちに切っておけばよかった、明日切ろう…」と思っていました。
すると姉が「赤ちゃんの爪は、ネコちゃんの爪…」と繰り返し言いながら娘の爪を切っているのです。
「ウソ!」とびっくりしましたが、姉いわく、そう言いながら切れば大丈夫なのだとか。
そんなの初めて聞きました。
「へぇ~便利だね~」と言ってはみましたが、小さい頃から守ってきた言葉がひっかかり、気の小さい私はいまだに夜に爪を切ることはできないのですけどね。
あり得ないことだけど意味はある
「食べてすぐ寝ると牛になる」
「夜、口笛を吹くと蛇が出る」
「ウソをつくとエンマ様に舌をぬかれる」
「雷が鳴ったらヘソを隠せ」
「北枕は死んだ人」
「籠を頭にかぶるとおできができる」
「火遊びをすると、おねしょをする」
「親をまたぐと嫁にいけない」
など、子供のころはすべて素直に信じていたものです。
でも考えてみると、親はそういう言葉をつかって、子供の身を案じたり、常識を教えたり、しつけをしていたのかもしれません。
時代が変わった現代では通用しないことばも出てきているのだと思いますが、なんだか古き良き時代の日本を感じられる気がします。
もちろん、本当にそれが原因で親の死に目に会えない…なんてことはないし、牛になってしまう…なんてことも絶対にありえません。
でも、その言葉に隠された意味や親の愛情、そんなものを感じながら、娘へ、そして孫に語り継げたらと思う今日この頃です。